(その1からつづく)
小5と中2では、なんと「恋愛」が授業となります。パートナーとの関係が愛なのか支配なのか、大切な人を大切にするためのよいパートナーシップについて考えます。これは恋愛関係だけに限らないことです。
〔実はこんなテーマが生きていくうえで最も学びたいことかもしれません。まさに包括的性教育ですね〕
6年生のテーマは「家庭」です。幸せな結婚をするために必要な法律をつくってみたり(日ごろあまり物を言わない子が、この時は「いつも家のことは母と私だけでしている。結婚するんやったら家のことはみんなでせなあかん!」という法律を提案したそうです!)、赤ちゃん連れのお母さんにお話を聞いたり、赤ちゃんと実際触れ合いながら、子育てについて考えてみたり、家計の内訳をシュミレーションしてみたりします。家庭を築いていくって大変で、親に感謝しなあかんと言うこどものつぶやきが聞かれるそうです。
又生きていく中で負う「心の傷」についても考えます。命にかかわる傷はトラウマになる赤信号、黄信号、青信号と分けていきます。同じ現象でも人によって受け取り方は違うことにも気づきます。赤信号の傷は自分を守るために凍らせてしまったり、自分の記憶や感情が一時的に逃げて解離してしまったりする。でも、そのままにしておいたら、何かの拍子で溶けた時に爆発してしまうので、心を守るためには治療が必要なこともある。でも治療だけじゃなくて、人のつながり、寄り添いで癒されることもある。「人は人で傷つき、人で癒される」から、つながることを恐れずみんなで繋がっていこう、とその対処法についても話し合っていきます。
〔このトラウマについても、小学生の時に授業で学び合うということに驚きましたが、あなたの問題、にせず、みんなが知って対処法を学び、支えあう関係をつくることは、早い方がいいだろうし、大切なことだと思いました。〕
中1(7年生)では思春期特有の脳の働きを知り、病気じゃなくて思春期だからこそ起こるいろんなストレスを学びます。それらを言語化しながら、自分で乗り越える力「レジリエンス」が必要で、そのためにもこれはあかんとなった時に戻ってこれる場所、安心できる場所が必要なことも学びます。そして学校が「こころの安全基地」であってほしいと別所先生は力をこめられました。(ETV特集では、小野先生が、たくさんのいい思い出をつくることも、これから何かあった時の心の安全基地になる、と学校行事に力を入れられている様子もありました。)
中2(8年生)では「リアルデートDV」と「SNSの誹謗中傷」。家族との支配関係があったこどもたちは、その家族から逃れようと思ったときに、パートナーに依存していくという依存の連鎖が止まらないといわれています。束縛されているのだから、離れたらいいのに離れられない、じゃあ、お互いに幸せになる方法は何だろう、と考えていきます。
ネットの誹謗中傷について、見えないところでつぶやくことについて、それは応援なのか、意見なのか、誹謗中傷なのか、その価値観について、ネットのいじめと普通のいじめとの違い、怖さについても今後の授業で発展させていきたいと仰ってました。
中3(9年生)での本丸は「こどもの虐待」。罪を犯した人たちもかつては小学生、中学生だった。ではなんでこの分かれ道になったんだろうというところをこども達と考えたい、というところを西澤先生から教えていただいたことをヒントに、授業をつくりました。まず加害をした大人たちのことを丁寧に話し、この人たちも大変な生い立ちの中精一杯やってきたけど誰にも助けてもらえなかった、というところを社会問題として考えていきます。このような痛ましい事件にならないようにするには、どのような社会になればよいのか。もうじき大人になる自分が、「こどもの権利」を守ることのできる大人になるために必要なことを考えるのです。誰だってしんどくなって魔がさすときがある、でもその時に何かしら助けてくれる人たちや大丈夫って声をかけてくれる人がいるから「あかん」と思える。誰かしら何かできるときにできることをやっていく「受援力」を大切にしていくことが授業の中心になっています。こども達からは「子育てについて義務教育で教えてほしい」という要望、「愛されるって何だろう」という疑問が出てきたり、「みんながこどもの権利条約知らなあかん」と提案があったりしたそうです。
(この後ワークショップにつづきます)